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x^{2n}e^{-x^2}の実数全体にわたる積分を計算してみた。
最終更新日: Sun Jan 28 16:35:00 2024 +0900
はじめに
ちょっとした野暮用で、
\begin{align} I_2&=\int_{-\infty}^{\infty} x^2e^{-x^2}dx\label{eq:x2exm2} \end{align}
を計算する必要が出てきました。
そこでついでに、
\begin{align} I_{2n}&=\int_{-\infty}^{\infty} x^{2n}e^{-x^2}dx\label{eq:x2nexm2} \end{align}
$(n \gt 0)$も計算してみることにします。
ちょっとしたおことわり
なお、$x^{2n-1}$は奇関数、$e^{-x^2}$は偶関数になるので、
\begin{align} I_{2n-1}&=\int_{-\infty}^{\infty} x^{2n-1}e^{-x^2}dx\nonumber\cr &= 0 \label{eq:xoddexm2} \end{align}
となります。
さらに、以下の式も既知とし、証明を省略して利用します。
\begin{align} \int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2} &= \sqrt{\pi} \label{eq:gaussintegral} \end{align}
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サクサク計算
例によってサクサクと計算します。
I_2を計算
まず、(\ref{eq:x2exm2})式を計算します。部分積分を用いて、
\begin{align} I_2 &= \int_{-\infty}^{\infty} x\left(-\frac{1}{2}e^{-x^2}\right)^{\prime}dx \nonumber\cr &= \left[ -\frac{x}{2}e^{-x^2}\right]_{-\infty}^{\infty} - \int_{-\infty}^{\infty} \left(-\frac{1}{2}e^{-x^2}\right)dx\label{eq:x2exm2firstform} \end{align}
と変形できます。
ここで、(\ref{eq:x2exm2firstform})式右辺第1項は(\ref{eq:xoddexm2})式より0であり、第2項については(\ref{eq:gaussintegral})式を利用すると…
\begin{align} I_{2n} &= \int_{-\infty}^{\infty}\frac{1}{2}e^{-x^2}dx\nonumber\cr &= \frac{\sqrt{\pi}}{2}\label{eq:x2exm2finalform} \end{align}
と計算できます。$\blacksquare$
I_{2n}を計算
この調子で、(\ref{eq:x2nexm2})式を計算してみます。$I_{2n}$を$I_{2n-2}, \cdots , I_2$のいずれで表せないか考えます。
$I_2$の計算時と同様に、部分積分を用いて変形します。
すると…
\begin{align} I_{2n} &= \int_{-\infty}^{\infty} x^{2n-1}\left(-\frac{1}{2}e^{-x^2}\right)^{\prime}dx \nonumber\cr &= \left[ -\frac{x^{2n-1}}{2}e^{-x^2}\right]_{-\infty}^{\infty} - \int_{-\infty}^{\infty} (2n-1)x^{2n-2}\left(-\frac{1}{2}e^{-x^2}\right)dx\label{eq:x2nexm2firstform} \end{align}
と変形できます。
ここで、(\ref{eq:x2nexm2firstform})式右辺第1項は(\ref{eq:xoddexm2})式より0であることを利用すると、(\ref{eq:x2nexm2firstform})式は…
\begin{align} I_{2n} &= \frac{2n-1}{2}\int_{-\infty}^{\infty}x^{2n-2}e^{-x^2}dx\nonumber\cr &= \frac{2n-1}{2}I_{2n-2}\label{eq:x2nexm2secondform} \end{align}
と書くことができ、$n$についての漸化式で書くことができることがわかります。
そこで、ここまでの式変形を(\ref{eq:x2nexm2secondform})式の右辺に対して$(n-2)$回繰り返すと…
\begin{align} I_{2n} &= \frac{(2n-1)\cdots 3}{\underbrace{2 \cdots 2}_{(n-1)個}}I_2 \nonumber\cr &= \frac{(2n-1)!!}{2^{n-1}}\frac{\sqrt{\pi}}{2}\nonumber\cr &= \frac{(2n-1)!!\sqrt{\pi}}{2^n} \label{eq:x2nexm2thirdform} \end{align}
と計算できます。$\blacksquare$
なお、$!!$は二重階乗を表す記号で、
\begin{align} (2n-1)!! &= \prod_{k=1}^{n}(2k-1) \label{eq:doublefactorial} \end{align}
です。
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まとめ
ガウス関数に関する5次以上の高次のモーメントを計算する機会はあまりないかもしれませんが、(\ref{eq:x2nexm2thirdform})式自体はいい感じの式になっているので、試験の問題等には出題しやすい式かもしれません。
この記事は以上です。
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