panda大学習帳外伝

よく眠ったが故の寝足りなさ。

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試験には出ないかもしれないWallis積分。

この記事の証明を行う途中で、Wallis積分

\begin{align} I_n &= \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \cos^n x\,dx = \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \sin^n x\,dx \nonumber \cr &= \left\{ \begin{array}{ll}  \displaystyle\frac{(2m-1)!!}{(2m)!!}\displaystyle\frac{\pi}{2} & (n = 2m) \cr \displaystyle\frac{(2m)!!}{(2m+1)!!} & (n = 2m+1) \end{array} \right. \label{eq:wallis} \end{align} (ただし、$n,m$は負でない整数で、$(-1)!!=0!!=1$とする。)

が登場しました。

上記の計算自体は元記事的には本筋ではなかったので、この記事においては証明なしで(\ref{eq:wallis})式の結果を利用しました。

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そこで、この記事では$\displaystyle\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \cos^n x\,dx$を計算して、その結果を確認することにします。

サクサクと計算。

例によって、部分積分を用いて$\cos^n x$の次数を下げることを考えます。

すると…

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\begin{align} I_n &= \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} (\sin x)^{\prime}\cos^{n-1}x\,dx \nonumber \cr &= \left[ \sin x\cos^{n-1}x \right]_{0}^{\frac{\pi}{2}} + (n-1)\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \sin^2 x\cos^{n-2}x\,dx \label{eq:wallisatfirst} \end{align} となります。$\sin 0 = \cos{\displaystyle\frac{\pi}{2}} = 0$であることを利用すると、(\ref{eq:wallisatfirst})式の右辺第1項は0になりますので… \begin{align} I_n &= (n-1)\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \sin^2 x\cos^{n-2}x\,dx \nonumber \cr &= (n-1)\left[\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \cos^{n-2}x\,dx - \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \cos^n x\,dx\right] \nonumber \cr &= (n-1)(I_{n-2}-I_n) \label{eq:wallisatsecond} \end{align} と変形できるので、 \begin{align} I_n &= \frac{n-1}{n}I_{n-2} \label{eq:wallisrec} \end{align} となります。

${I_n}$を数列と考えると、(\ref{eq:wallisrec})式は漸化式と考えることができて、かつ2項前の値が計算できていれば求めることができます。そこで、${I_n}$の最初の2項である$I_0,I_1$を計算すると…

\begin{align} I_0 &= \Bigl[ x \Bigr]^{\!\frac{\pi}{2}}_{0} \nonumber \cr &= \frac{\pi}{2} \nonumber \cr I_1 &= \int^{\frac{\pi}{2}}_{0} \cos x\,dx \nonumber \cr &= \Bigl[ \sin x \Bigr]^{\!\frac{\pi}{2}}_{0} \nonumber \cr &= 1 \label{eq:wallisfirstoftwo} \end{align}

となります。

(\ref{eq:wallisrec})式の結果を$n = 0$または$1$になるまで繰り返し適用すると、$n$が偶数の場合には…

\begin{align} I_n &= \frac{n-1\cdot n-3 \cdots 1}{n\cdot n-2 \cdots 2}I_0 \label{eq:walliseven} \end{align}

$n$が奇数の場合には…

\begin{align} I_n &= \frac{n-1\cdot n-3 \cdots 2}{n\cdot n-2 \cdots 3}I_1 \label{eq:wallisodd} \end{align}

となりますので、(\ref{eq:wallisfirstoftwo}),(\ref{eq:walliseven}),(\ref{eq:wallisodd})の各式を合わせると、(\ref{eq:wallis})式が成り立つことを示すことができます。$\blacksquare$

おまけ: 二項係数を用いた表現

(\ref{eq:wallis})式で「$n!!$」は$n$が奇数の場合には$n$以下のすべての正の奇数の、偶数の場合には$n$以下のすべての正の偶数の積を表します。ただし、(\ref{eq:wallis})式では$m=0$の場合も考慮せねばならないので、(\ref{eq:wallis})式においては$(-1)!!=0!!=1$と定義しています。

(\ref{eq:wallis})式の分子と分母に$(2m)!!$をかけると、$n$が偶数の場合には$(2m-1)!!(2m)!! = (2m)!$となることと、$(2m)!! = 2^m m!$になることから、 \begin{align} \frac{(2m-1)!!(2m)!!}{\left[(2m)!!\right]^2} &= (2m)!!\frac{\pi}{2} \nonumber \cr &= \frac{(2m)!}{(2^m m!)^2}\frac{\pi}{2} \nonumber \cr &= \frac{1}{4^m}\frac{\pi}{2}\begin{pmatrix} 2m \cr m \end{pmatrix} \label{eq:walliswithbinomialineven} \end{align} となります。

また、$n$が奇数の場合には、$n=2m+1$とおいて分子と分母に$(2m)!!$をかけると(\ref{eq:walliswithbinomialineven})式と同様の変形ができて… \begin{align} \frac{\left[(2m)!!\right]^2}{(2m+1)!!(2m)!!} &= \frac{(2^m m!)^2}{(2m+1)!} \nonumber \cr &= \frac{4^m}{(2m+1)\begin{pmatrix} 2m \cr m \end{pmatrix}} \label{eq:walliswithbinomialodd} \end{align} となります。この記事では(\ref{eq:walliswithbinomialodd})式の結果を証明なしで用いています。

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まとめ

Wallis積分自体は特に難しいものではないと思うのですが、おまけとして書いた二項係数による表現方法は一見しただけではなんでそうなるのかがわかりにくい(※個人の感想です。)と思ったので、記事にしてみました。

大学入試の数学の問題でWallis積分をストレートに計算させる問題が出題されることはあまりないと思いますが、求積問題の計算の途中等で登場する可能性がありますので、頭の片隅に入れておくとよいことがあるかもしれません。

この記事は以上です。

リンク

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