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整数次数の第2種変形Bessel関数が収束することの証明のうち、ディガンマ関数が登場する項が収束することの証明。
この記事で、整数次数の第2種変形Bessel関数が、次数が0でないときには \begin{align} J_{\mu}(x) &= (-1)^{\mu+1}I_{\mu}(x) \log\frac{x}{2} \nonumber \cr &{} + \frac{1}{2} \left(\frac{x}{2}\right)^{-\mu} \sum_{p=0}^{\mu-1} \frac{(-1)^p(\mu-p-1)!}{p!} \left(\frac{x}{2}\right)^{2p} \nonumber \cr &{} + \frac{1}{2} \left(-\frac{x}{2}\right)^{\mu} \sum_{p=0}^{\infty} \frac{\psi(p+1)+\psi(\mu+p+1)}{(p+\mu)!p!} \left(\frac{x}{2}\right)^{2p} \label{eq:combinedandcalc} \end{align} と表され、次数が0のとき(0次)のときには \begin{align} J_0(x) &= -I_0(x)\log\frac{x}{2} + \sum_{p=0}^{\infty}\frac{\psi(p+1)}{(p!)^2}\left(\displaystyle\frac{x}{2}\right)^{2p} \label{eq:zerothorder} \end{align} であることを示しました。
この記事では上述の記事では証明を省略していた(\ref{eq:combinedandcalc})式の右辺第3項及び(\ref{eq:zerothorder})式の右辺第2項が収束することを示すことで、 (\ref{eq:combinedandcalc})式の右辺及び(\ref{eq:zerothorder})式の右辺全体が収束することを示します。
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さっそく計算。
前提条件
…とはいうものの、以下の式については証明を省略して用いることとします。
\begin{align}
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2} &= \frac{\pi^2}{6} (= \zeta(2)) \label{eq:basel} \cr
\lim_{p \to \infty} p^{\frac{1}{p}} &= 1 \label{eq:ponep}
\end{align}
次数が0以外の整数の場合
とりあえず、 \begin{align} a_p &= \frac{\psi(p+1)+\psi(\mu+p+1)}{(p+\mu)!p!} \left(\frac{x}{2}\right)^{2p} \label{eq:seriesdef} \end{align} と置くと、$\displaystyle\lim_{p \to \infty} \sqrt[p]{|a_p|} < 1$になることを示します(コーシーの冪根判定法)。なお、正の整数$p$に対しては$a_p > 0$が成り立つので、$|a_p| = a_p$とみなして計算することができます。
まず、$a_p$を計算できるところまで計算していきます。
(\ref{eq:seriesdef})式の右辺に現れるディガンマ関数の引数はいずれも正の整数になりますので、Eulerの定数$\gamma = 0.5772\cdots$を用いて(\ref{eq:digammaseries})式のように級数展開できます。 \begin{align} \psi(z) &= -\gamma + \sum_{n=0}^{\infty}\frac{z-1}{(n+1)(z+n)} \label{eq:digammaseries} \end{align} (\ref{eq:digammaseries})式を(\ref{eq:seriesdef})式に代入し、さらに$\sqrt[p]{a_p}$を計算すると… \begin{align} \sqrt[p]{a_p} &= \frac{x^2}{4}\sqrt[p]{\displaystyle\frac{-\gamma+\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}\displaystyle\frac{p}{(n+1)(p+n+1)}-\gamma+\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}\displaystyle\frac{\mu+p}{(n+1)(\mu+p+n+1)}}{(p+\mu)!p!}} \nonumber \cr &= \frac{x^2}{4}\sqrt[p]{\displaystyle\frac{-2\gamma+\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}\displaystyle\frac{p}{(n+1)(p+n+1)}+\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}\displaystyle\frac{\mu+p}{(n+1)(\mu+p+n+1)}}{(p+\mu)!p!}} \label{eq:calcresult} \end{align} となります。
厳密に計算ができるのはここまでなので、ここからは(\ref{eq:calcresult})式の各項を別の数式で評価することができないか考えます。
$p$は0以上の整数ですが、$p$が十分に大きい正の整数であるとき、 \begin{align} \sum_{n=0}^{\infty}\frac{p}{(n+1)(p+n+1)} &< \sum_{n=0}^{\infty}\frac{p}{(n+1)(n+1)} \nonumber \cr &= \frac{\pi^2}{6}p \label{eq:baselsup} \cr \sum_{n=0}^{\infty}\frac{\mu+p}{(n+1)(\mu+p+n+1)} &< \sum_{n=0}^{\infty}\frac{\mu+p}{(n+1)(n+1)} \nonumber \cr &= \frac{\pi^2}{6}(\mu+p) \label{eq:baselmusup} \end{align} という関係が成り立ちます。(\ref{eq:baselsup})式及び(\ref{eq:baselmusup})式を(\ref{eq:calcresult})式に適用すると、 \begin{align} \sqrt[p]{a_p} &< \frac{x^2}{4}\sqrt[p]{\displaystyle\frac{-2\gamma+(\mu+2p)\displaystyle\frac{\pi^2}{6}}{(p+\mu)!p!}} \nonumber \cr &= \frac{x^2}{4}\sqrt[p]{\displaystyle\frac{-2\gamma+(\mu+2p)\displaystyle\frac{\pi^2}{6}}{p}\cdot\frac{p}{(p+\mu)!p!}} \nonumber \cr &= \frac{x^2}{4}\sqrt[p]{\displaystyle\frac{-2\gamma+(\mu+2p)\displaystyle\frac{\pi^2}{6}}{p}\cdot\frac{1}{(p+\mu)!(p-1)!}} \label{eq:estimation} \end{align} という不等式が成り立つことがわかります。
そこで、(\ref{eq:estimation})式の右辺の$p$が$\infty$に近づく時の極限をとります。すると、(\ref{eq:estimation})式の右辺の根号の中の前半の部分は2に近づきます。また、後半の部分にについては($(p-1)!$のところは二度手間になりますが…)、 \begin{align} \sqrt[p]{\frac{1}{(p+\mu)!(p-1)!}} &= \sqrt[p]{\frac{p}{(p+\mu)!p!}} \nonumber \cr {}\le \sqrt[p]{\frac{p}{(p!)^2}} \label{eq:limitation} \end{align} と変形してみます。すると、(\ref{eq:limitation})右辺の分子は$\sqrt[p]{p} = p^{\frac{1}{p}}$ですから、$\displaystyle\lim_{p \to \infty} \sqrt[p]{p} = 1$となります。
また、分母は$(p!)^2 \gt p!$であることから$\displaystyle\lim_{p \to \infty} \sqrt[p]{(p!)^2} = \displaystyle\lim_{p \to \infty} \sqrt[p]{p!} = \infty$になります(証明はこの記事参照。)ので、 \begin{align} \lim_{p \to \infty}\sqrt[p]{\frac{1}{(p+\mu)!(p-1)!}} &= 0 \label{eq:resultoflimitation} \end{align}
従って、(\ref{eq:estimation})式の右辺の極限は以下のようになります。 \begin{align} \lim_{p \to \infty} \frac{x^2}{4}\sqrt[p]{\displaystyle\frac{-2\gamma+(\mu+2p)\displaystyle\frac{\pi^2}{6}}{p}\cdot\frac{1}{(p+\mu)!(p-1)!}} &= 0 \label{eq:aplimitation} \end{align} (\ref{eq:estimation})式及び(\ref{eq:aplimitation})式より、$\displaystyle\lim_{p \to \infty} \sqrt[p]{a_p} = 0 < 1$となりますので、(\ref{eq:combinedandcalc})式の右辺第3項が収束することが示せました。$\qquad\blacksquare$
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次数が0の場合
次数が0、すなわち$\mu = 0$の場合には(\ref{eq:seriesdef})式の右辺に$\mu = 0$を代入すると次数が0でない場合と同様に計算ができます。$\qquad\blacksquare$
まとめ
(\ref{eq:combinedandcalc})式の右辺の第1項及び第2項ならびに(\ref{eq:zerothorder})式の右辺の第1項は収束しますので、前節までの結果と合わせると(\ref{eq:combinedandcalc})式の右辺及び(\ref{eq:zerothorder})式の右辺がどちらも収束することがわかります。
例によって、本記事で行った計算の正確性については保証できませんが、何かの参考にしていただければ幸いです。
この記事は以上です。
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